妖・花食い姥 (講談社文芸文庫)妖・花食い姥 (講談社文芸文庫)
(1997/01/10)
円地 文子

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に欲情する人妻を描いた小説があるらしい

そんな情報を友人からもらったので読んでみた。

主人公は人妻というより初老の女性。
終戦後まもない頃、二人の娘を嫁に出したばかりというから五十前後の熟女だろうか。

この女性、確かに欲情してる。
でも相手は坂じゃなくて、れっきとした男性だった。

主人公の千賀子は、自分を使い古した道具のように扱う夫に軽く絶望していた。

あるとき春本(エロ小説)の英訳に携わったことをきっかけに、
老いた自分に性衝動のようなものが残っていることに気づいた。

千賀子は仕事場と称して中二階に自分の部屋を確保した。
家は坂の途中に建っているので、その中二階のソファーで横になると、
坂の斜面の真横に寝そべる形になった。

坂を行き交う人々の息づかい、流れる水の音、葬列の喧騒、
それらのひとつひとつが、そばで密かに横たわる千賀子を高ぶらせた。

坂上から降りてくる男子学生の力強いテノールの声を聞いたとき、
千賀子の劣情はピークに達するのだった…


に興味のない人にはなんのこっちゃという感じかもしれないが、
坂が持っている躍動的なイメージと、千賀子が恐れる老いのイメージ、
そのコントラストが妖しいエロスをかもしだしている。

数々の病に見舞われながら、坂を上るように粘り強く【女性】の業を
描き続けた著者ならではの力作。
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Author:shokomotsu
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