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鳥が教えてくれた空

鳥が教えてくれた空 (集英社文庫)鳥が教えてくれた空 (集英社文庫)
(2004/08/20)
三宮 麻由子

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小学生の頃、手乗り文鳥を拾ったことがある。

朝のラジオ体操の帰り、公園の芝生になにやら白い固まりが動いている。
近づいて見ると小鳥だ。大きさはスズメくらい、真っ白な体にクチバシだけワンポイントで赤い
驚いたことに、手を差しのべると手のひらにチョコンと乗ってきた。

迷わず私は飼うことにした。

名前は「ピー子」。ドラえもんの映画に出てくる恐竜の赤ちゃん「ピー助」からもらった。
それまで鳥の世話なんてしたことがなかったが、しばらく遊んでいるうちに大の仲良しになった。

ピー子のお気に入りの遊びは水浴びだ。洗面台に水を貯めて、手に乗せたピー子をゆっくり近づける。最初は恐る恐る踏み出しては戻るを繰り返しているが、ある瞬間、吹っ切れたかのようにダイブ、羽根を思いっきりバタつかせて水しぶきを上げる。

そのときのピー子の鳴き声は、子どもの歓声のように楽しげだった。

私が好きだったのは「死んだふり」ゲームだ。寝室を締め切ってピー子を放す。ピー子はうれしそうに飛び回る。頃合いを見計らって私はうつ伏せに寝になり、死んだふりをする。

すると不思議なことに、ピー子は飛ぶのを止めて、心配そうに鳴きながら、私の顔を突っつき始めるのだ。私が起き上がるとピー子の鳴き声は元に戻り、またうれしそうに部屋中を飛び回る。

そんな蜜月も長くは続かなかった。飽きっぽい私は数ヶ月で世話をしなくなり、ある日ピー子は鳥かごから姿を消した。ベランダに出入りしていたスズメがえさ箱を倒して、そこから脱走したのだった…。


本書は、タイトルからもわかる通り、について書かれている。
普通の書物と少し違うところは、目が見えない人によって書かれたということだ。

幼くして【視力】を失った著者には、目が見えていた頃の記憶がない。
目の見える人にとっては当たり前の視覚イメージを持っていないし、
特に景色に奥行きがあることがわからなかったという。

それを変えてくれたのが鳥との交流だった。
鳴き声の大きさや数、聞こえてくる方向などによって【空間】のイメージが形作られる。
さらに表情豊かな声色が、一日のうちのどの時刻なのか、鳥がどんな気持ちなのかを教えてくれる。

そのおかげなのだろう、鳥も、人も、自然も、本書に描かれる情景はみんな、
視覚以上に視覚的で、読んだ瞬間に鮮やかなイメージが浮かび上がる。

ピー子に愛想を尽かされて以来、鳥と関わることがなかったが、
もう一度あの対話を楽しんでみたくなった。
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