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山椒大夫・高瀬舟

山椒大夫・高瀬舟 (新潮文庫)山椒大夫・高瀬舟 (新潮文庫)
(2006/06)
森 鴎外

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明治の文豪、森鴎外の短編集。
安寿と厨子王の「山椒大夫」と、安楽死を扱った「高瀬舟」が有名だが、
ほかの10篇は、日常のちょっとした体験を綴ったようなものもあり、鴎外の人となりが想像できる。

百物語という作品に気になる一文があった。
『僕は生まれながらに傍観者である』

巻末に引用された鴎外評にはこうある。
『親分気質のみじんも無い人である』

鴎外は陸軍の軍医総監を勤めたほどの人だが、職業人としての印象はきわめて薄い。
ドイツに留学して西洋近代文明に触れた。本書の作品の中にもフランスやドイツへの憧れが色濃く現れている。
だが、西洋で学んだ文化や気質を広めるための組織的な活動をしなかった。

作家として名声を築いた後も、群れることを嫌い、独立した個人としての付き合いを大切にしていたようだ。

生涯孤独な傍観者が軍医のトップなどに出世しなければ、本人も周りもいくらか犠牲が少なくすんだのではなかろうか。
頭のいい彼自身が一番、その分不相応に気づいていたのだろうけど。
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