円周率を計算した男

円周率を計算した男 (新人物文庫)円周率を計算した男 (新人物文庫)
(2009/05/11)
鳴海 風

商品詳細を見る

「たがが外れる」という言葉がある。緊張がとれて羽目を外すという意味で使われる。

この「たが」というのは、樽とか桶の周りをぐるっと留めている金属や竹のことだ。
直径10cmの桶の「たが」を外してまっすぐ伸ばすと、その長さは31.4cmになる。
直径20cmの桶だと、「たが」の長さは倍の62.8cmだ。
桶の大きさは変わっても、「たが」の長さは常に直径の3.14倍。これが円周率3.14の意味だ。

円周率=3.14は、江戸時代の初めにはすでに知られていたらしい。樽などの丸い道具を作るのに役立てていたのだろう。

円周率はピッタリ3.14ではなくて、その後に延々と小数点が続く。
江戸時代に和算を考え出した関孝和は、円周率を12桁まで求めた。これによると
円周率=3.14159265359
となる。

ここまで出しても実用にはほぼ役に立たない。
しかし、円周率というは、進めば進むほどその先が気になるようだ。
「もっと先を知りたい・・・」
より正確な円周率を求めるために、多くの算術家たちが人生を捧げた。

本書の主人公、建部賢弘(たけべ かたひろ)もその一人だ。

建部は関孝和の弟子。
血気盛んな建部は、師匠をゆうに超える21桁の円周率を求めて師匠に見せにいく。
ところが、師匠はせせら笑って言うだけだった。
『真の円周率を求めるというのは、ただ腕力にものをいわせて計算することではない』

それでも建部は計算をやめなかった。42桁、80桁、いくら桁数を増やしても師匠のせせら笑う顔が浮かんでくる。
仕事も休み、部屋にこもって死に物狂いで計算を続けた先、ついに建部が見たものは・・・


ノンフィクションかなと思って読み始めたら、史実に基づいた歴史小説
「円周率を計算した男」を含む6つの短編がセットになっている。

6つの物語は時代順に並んでいるので、ある物語で若い算術家だった人が次の物語で立派な師匠になって登場したり、
江戸後期には黒船が登場して数学と思わぬ関わりが出てきたり、歴史をリアル生きている感覚が味わえる。

時は流れて2011年、自作パソコンで円周率10兆桁(!)を計算したサラリーマン男性がニュースになった。
ちなみに、円周率が無限に続くことは18世紀にフランスの数学者が証明済みである。
スポンサーサイト
プロフィール

shokomotsu

Author:shokomotsu
無意味つづり>書庫モツ連鎖

カテゴリ
最新記事
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク