最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか

最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか
(2006/10/19)
ジェームズ R・チャイルズ

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東日本大震災の翌日、菅総理の記者会見で「計画停電」の実施が発表された。
私の住む東京郊外も見事に含まれている。

どうしよう…生まれてこのかた長時間の停電なんて経験したことがない。
懐中電灯で灯りはなんとかなる。料理はガスで大丈夫。でも水道は?
蛇口に電気は使われてなさそうだ。でもうちはマンションだから、タンクに水を貯めるのに電気が使われているかもしれない。タンクはどこにある?ゴミ捨て場の横のヤツがそうか?うちは一階だからしばらくは水圧で使えるのか?トイレは?バケツで流せばトイレは流れていってくれるのか?

なんにもわからないので、とりあえず鍋と風呂に水を貯めることにした。結局我が家の地域は、変電所が近いとかで停電になることはなかった。三日後マンションの掲示板には「停電になると水道も止まります」という紙が貼られていた。

「われわれは巨大なマシンの中で生きている」
本書の冒頭のこの言葉を、震災ほど思い知らされたことはなかった。
水道一つとってみても、【生存】に必要なことはすべて専門家に任せてしまっている。

専門家にとっても、事故はマニュアルのない応用問題だ。
化学工場、石油採掘船、航空機、スペースシャトル、ハッブル宇宙望遠鏡、そして原子力発電所。
後付けで読むと、事故がどのようにして起きたかを素人なりに理解することはできるが、リアルタイムで事故に接していた人は、なにが起こっているか想像するのは至難の技だったろう。

スリーマイル原発事故の直後、制御室では異常発生を知らせるブザーが鳴り続け、百個以上の警告ランプが点灯していたという。

原子力エネルギーが原爆の次に実用化されたのは、潜水艦だった。
潜水艦への実用化は夢のまた夢だと考えられていた中で、原潜の父と呼ばれた米海軍のハイマン・G・リコーバーはそれを成し遂げた。

彼は、あらゆるものを疑う人だったという。
潜水艦の中で使う電化製品のサンプルが届くと窓の外に放り投げてその強度を確かめた、
原潜の実験航海には必ず自ら乗り込んだ、などなど。

本書で紹介されている事故だけでも、数え切れないほどの犠牲者が出ている。
【事故】の犠牲者と、その防止のために人生を捧げた【プロ】たちのおかげで
今日の文明社会があることを噛み締めたい。
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