スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ドキュメント 戦争広告代理店―情報操作とボスニア紛争

ドキュメント 戦争広告代理店―情報操作とボスニア紛争ドキュメント 戦争広告代理店―情報操作とボスニア紛争
(2002/06)
高木 徹

商品詳細を見る

今日、旧ユーゴスラビアのニュースを目にすることはほとんどない。

1992年4月、ボスニア・ヘルツェゴビナの外相がたった一人でニューヨークを訪れた時も、アメリカの【メディア】の多くが「それってどこにある国?」という冷たい反応だったという。しかしその後の数ヶ月で、日本を含む世界中のメディアが、旧ユーゴスラビアの紛争を「民族浄化」「強制収容所」といったセンセーショナルな言葉で連日のように報道することになる。

その背景には、ルーダー・フィン社という【アメリカ】「PR会社」が描いた筋書きがあった。

ルーダー・フィン社は、ボスニア・ヘルツェゴビナ政府をクライアントとしていた。当時、ボスニア・ヘルツェゴビナはセルビアと対立していた。だから、ルーダー・フィン社はセルビア側に不利な情報をメディアやアメリカ政府に大量に流し続けたのだ。

ルーダー・フィン社のような「PR会社」は、メディアが報道しやすいように情報を「パッケージ化」するのを商売にしている。捏造しているわけでは決してなく(過去にそういう事例もあったようだが)、あくまで事実を組み合わせて一つのストーリーができあがるように仕向けているにすぎない。

世界には200近くの国がある。そのうち、国際ニュースとして報道されるのは、ほんの一握りの国の出来事でしかない。国際政治は、その狭い枠を獲得するための熾烈な情報戦なのだという。

アメリカのメディアで報道されることにより、アメリカ政府が動き、国連が動く。すべてがそううまくいくわけではないが、報道されれば少なくともその確率は高くなる。アメリカ政府や国連にパイプがない小国にとってみれば、お金でそれが実現できるとすれば願ってもないことだろう。そのニーズに応えるのがルーダー・フィン社のような「PR会社」というわけだ。

「民族浄化」と「強制収容所」の犯人にされてしまったセルビアは、アメリカ国籍を持つ人物をユーゴスラビア連邦の大統領にすえるなどのPR戦略で対抗したが、一度付いた悪者のイメージを払拭するすることはできなかった。
結局、セルビア率いるユーゴスラビア連邦は国際社会から追放されてしまう。

ボスニアとセルビア、ホントのところはどっちが悪いかといえば、どっちもどっちというのが真相のようだ。
その後の検証で「強制収容所」の存在は確認されなかったし、関係者の取材では、ボスニア側もセルビア側も、自陣を砲撃をしては相手のせいにする、という自作自演的な行為を繰り返していたらしい。

さらにややこしいことに、紛争はボスニア(のムスリム人)とセルビアの1対1の対立ではなく、クロアチア人も交えた三つ巴の対立だったようだ。

この紛争で死者20万人、避難民200万人が発生したと言われている。ルーダー・フィン社がセルビア側、あるいはクロアチア側に付いていたとしたら、この数字は変わっていたのだろうか。
スポンサーサイト
プロフィール

shokomotsu

Author:shokomotsu
無意味つづり>書庫モツ連鎖

カテゴリ
最新記事
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。