統計学を拓いた異才たち―経験則から科学へ進展した一世紀

統計学を拓いた異才たち―経験則から科学へ進展した一世紀統計学を拓いた異才たち―経験則から科学へ進展した一世紀
(2006/03)
デイヴィッド サルツブルグ

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一つのサイコロを6回振ったとき、1の目は何回出るだろうか。
多くの人は、「1回」と予想するだろう。それが一番確率が高そうだ。
でも実際に振ってみると、1の目は2回出るかもしれないし、1回も出ないかもしれない。

サイコロに限らず、私たちが人生で経験する多くのことは、確率的なものである。
大学入試や就職試験を受けたとすると、合格するかもしれないし、落ちるかもしれない。
その結果を事前に100%予測することはできない。

では、自然界の法則もまた確率的なものである、と言われたらどうだろうか。

いやいやそんなはずはない。もしそうだったら自然界の法則を利用した文明が成り立たなくなってしまう。
目覚まし時計はセットした時刻に必ず鳴るから意味があるんであって、鳴るかもしれないし鳴らないかもしれない、では使い物にならないではないか。

二十世紀を迎えるまで、科学者もそう考えていた。自然界の現象は正確に予測できるものであって、観測された値が予測値と違っていたとしたら、それは測定が下手だからであって、「真の値」は必ず存在しているはずだと。

しかしその後の100年間、科学は、自然界には【不確実性】が存在するということを学んだ。
必ずしも「真の値」を知らなくても、合理的な意思決定ができることを学んだ。その方法を体系化した学問が統計学である。

本書は、統計学の発展に貢献した異才たちのエピソードを綴ったものである。
喫煙と肺がんとの関係を最後まで認めることができなかった天才統計学者。
献身的な看護婦として知られるナイチンゲールが、実は統計を駆使して軍に野戦病院の維持を説いていた。
大恐慌時代のアメリカ、失業者の数を把握するために全数調査をすべきだと主張する財界を相手に、抽出調査の方が低コストでなおかつ正確であることを粘り強く説得した統計学者がいた。
【ソ連】が生んだ優れた統計学者の理論が、自国では「計画経済」の正しさと矛盾するという理由で排除され、敵国アメリカの生産性向上に、役立てられた。などなど。

統計学者の著者が、数学のトレーニングを受けていない妻に勧められて書いたというだけあって、一般の読者でも楽しめるエピソードが詰まっている。

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