生物と無生物のあいだ

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)
(2007/05/18)
福岡 伸一

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今年の夏、2歳の娘と八丈島の海岸で貝拾いをした。
小石や砂の中から上手に貝殻を見つけては、こっちのほうがおおきいよ、こっちのほうがきれだよ、と報告してくれる。
1年前は海岸をヨチヨチ歩くので精一杯だったのに、成長したものだなぁとしみじみしたものだ。

ここでふと、素朴な疑問が浮かぶ。
私たちが、誰に教わったわけでもなく、小石や砂の中から貝殻を見つけ出すことができるのはなぜなのだろうか。

『生物と無生物とを区別しているものは何か』
本書はこの根源的な問いから始まる。

生き物好きだった著者は、子どもの頃、トカゲの卵に穴を開けて中を覗いたのだという。
中にはトカゲの赤ちゃんが眠っているのが見えたが、その卵は孵化することなく死んでしまった。
外気に触れてしまったからだ。

この体験は、生物学者を目指した著者の原体験であり、生命とは何かという問いに対する答えでもある。

私たちのからだを作るひとつひとつの細胞は、全く同じ遺伝情報を持っているが、
外部の環境との【関係性】によって異なるふるまいをするようになる。
個体としての人もまた、周りの環境との触れ合いを通して成長し、自己を形成してゆく。
私たちが生活する都市も、周りと界面を接することによって、その様相を変えている。

これらの【変化】の結果を観察することはできるが、変化の瞬間を目撃することはできない。
あるいは、ひとたび変化の瞬間を覗いてしまうと、変化の結果が変わってしまう。

このうつろいやすさというか、【不確実性】のようなものが、遠回りではあるけれど、
何かを受け継いでいくのに一番確かな仕掛けなのかなと思う。
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