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日蝕・一月物語

日蝕・一月物語 (新潮文庫)日蝕・一月物語 (新潮文庫)
(2010/12/29)
平野 啓一郎

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宗教が堕落したとき、科学が生まれた。

科学世界を記述し終えたとき、世界が一つでないことがわかった。

『日蝕』は、科学の誕生から成熟までをつづった壮大な叙事詩だと言える。

15世紀末、教会の腐敗に嫌気がさしていた主人公は、ある錬金術師と出会った。

錬金術師は、当時の教会や聖職者が失ったストイックさを持っていた。
毎日決まった時間に起きて、練金炉(アタノオル)に向かう。

金属を溶かし、変性させてゆくプロセスは、
ミサの儀式のように順序立てて、おごそかに行われる。

そう、原初の科学【宗教】のような顔をしていたのだ。


同じ村で、主人公は日がな一日ブランコに揺られる少年を見た。

少年はを開けているが、笑っているわけではない。
父親によると彼は唖(おし)だという。

声を発することなくポッカリと開いたその口は、
深淵への入口のように感じられた。

彼の心の内は誰にもわからない。

そう、科学はまだこちら側の世界しか俯瞰していないのだ。


ついでに言えば、『一月物語』の主人公は、
重力の地平線を超えてブラックホールに落ちていくかのように、
幻のに吸い寄せられついには融合する。

間違いない。著者の平野啓一郎は小説家の顔をして、その実科学者なのだ。
彼が表現する世界は、やがてあちら側へとその領分を広げてゆくのだろう。
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