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空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む

空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む (集英社文庫)空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む (集英社文庫)
(2012/09/20)
角幡 唯介

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大学の探検部にあこがれていたけど、
この本を読むとその道に進まなくてよかったとつくづく思う。

チベットの聖なる川ヤル・ツアンポーが、ヒマラヤ山脈に流れ込む場所。
チベタンたちはそこを「水の消えるところ」と呼ぶ。
その深い谷の先がどうなっているか誰も知らないからだ。

何人もの探検家がこの谷に挑戦し、挫折してきた。
エベレストのほうが楽と評した登山家もいた。
いまだ踏破されずに残る5マイル
伝説によれば、そこにナイアガラ級の大滝桃源郷があるという。

こんなワクワクする話を聞いてじっとしてはいられない。
早稲田大学探検部
OBの著者は、学生時代に行ったツアンポーのことが忘れられなくて、
ついに再チャレンジすることを決めた。
仕事を辞めてから出発したというからハンパな覚悟じゃない。

こだわったのは単独踏破
21世紀の今探検をするには何かハンディがないと意味がない。

歴史上誰も見たことのない景色を見るんだ。
そんな野心を胸に旅立った彼を待っていたのは…

ユートピアどころか、この世の地獄だった。

自分はリアリストである、と文中で語っている通り、著者は事実を淡々と記述している。
それだけにが近づいていることが否定しようもなく明らかで、読んでるほうも逃げ場がない。

この本が書かれたということは生きて還ったんだよな、と言い聞かせながらも、
さすがにこれはヤバいんじゃないか?と読むほうまで冷や汗ダラダラで
なんとか巻末にたどり着いた。

あとがきで著者は、
この本は自分自身のために書いたもので、
社会に伝えたいメッセージが特にないことを
悩ましげに語っている。

いやいや、これだけのことをやりとげて還ってきたんだからそれで十分。
もし死んでたら何も残らない、残るとしても周りの想像でしかないわけで。
それはツアンポーで亡くなった冒険家の例で嫌というほどわかる。

Google Earthでツアンポー峡谷を見ると、
不自然にそこだけ写真が少ない。
画像のクレジットにはkakuhataの名前がしっかりと刻まれている。
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