オウエンのために祈りを〈下〉

オウエンのために祈りを〈下〉 (新潮文庫)オウエンのために祈りを〈下〉 (新潮文庫)
(2006/09)
ジョン アーヴィング

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アメリカ人はドライという勝手なイメージを持っていたが、
本書で描かれるアメリカの生活は結構ウェットだ。

所属する教会の委員をやらされたり、学校のクリスマス劇の役を割り振られたり、
宗派の違いでいざこざがあったり。

日本で言えばPTAとか町内会みたいなものだろうか、
人付き合いがそれなりに大変そうだ。

物語の後半、大学生になったオウエンと「ぼく」。
ハンディキャップをものともせず何事にも積極的なオウエンに対して、
「ぼく」は、なんやかや理屈をこねて面倒を避けている。

子どもの頃の「ぼく」はオウエンの守護者を気取っていたが、
今や立場は逆転したかのようだ。

折りしもベトナム戦争が泥沼化していた時代。
徴兵を逃れたい「ぼく」は大学院に進んで先延ばしを図る。
対照的に、オウエンはベトナム従軍を志望する。

物語の最後、オウエンが何度も夢に見てうなされた「運命の日」が訪れる。
そのとき「ぼく」は、自分もまた神様に選ばれた存在だったのだと気づかされる。

その後敬虔なキリスト教徒となった「ぼく」だが、
周りと積極的に関われない性格はあまり変わっていない。
移住先のカナダでも人間関係に悩む日々だ。

信仰を持つことで性格が変わるわけではないし、
まして人生の目標が見つかるわけでもない。
生活の中の【宗教】というのはそういうものなんだろう。

相変わらず皮肉屋の「ぼく」も、祈りの時間だけは大切にしている。
人生なにかと理不尽だけど、誰かのために祈るときだけは平穏な気持ちになれる。
生きてる意味って実はそんなとこにあるような気もする。

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