『妙法蓮華経』の生いたち -鳩摩羅什三蔵について-

『妙法蓮華経』の生いたち -鳩摩羅什三蔵について- (さだるま新書, 4)『妙法蓮華経』の生いたち -鳩摩羅什三蔵について- (さだるま新書, 4)
(1986)
野村耀昌

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みょうほうれんげ~きょ~

ポクポクポクとリズミカルな木魚の音。

お坊さんが広げた蛇腹の厚紙のようなお経を覗くと

妙法蓮華経…

と達筆な漢字が並んでいる。

お経ってなんかシブい…なんてうっとりしてると、ある疑問が頭をもたげた。

仏教はインド生まれだから、お経もオリジナルは漢文じゃないのでは?

気になって調べてみると

仏典はどう漢訳されたのか――スートラが経典になるとき仏典はどう漢訳されたのか――スートラが経典になるとき
(2013/12/19)
船山 徹

「漢訳」!

つまり、誰かがインドの言葉に漢字を当てて翻訳したのだ。

われわれは翻訳版のお経をありがたがっていたのか!


本書の主人公、鳩摩羅什(くまら・じゅう)は、その「漢訳」者の一人である。

西暦344年、彼は西域の小国クチャに生まれる。
父はインド人、母はクチャ王の娘。王族の子だったため、
貴重な仏典にオリジナルで触れる機会に恵まれた。

若くして頭角を現した彼の名は、遠く中国長安まで届いた。
当時の中国は戦乱の世。
ある武将が鳩摩羅什を軍事顧問にするためクチャまで遠征し、彼を捕虜にした。
(当時の中国では仏僧は単なる知恵袋程度の扱いだったらしい)

帰る途中、長安で政変が起こり、武将は本国に帰れなくなった。
武将はその地にとどまり、鳩摩羅什を抑留してしまった。

17年後、長安で新しい国王が誕生する。この国王が鳩摩羅什を欲しがった。
しかし今度は拉致るなんて野蛮なことをせず、国賓として迎えるという。

鳩摩羅什はこの招きを受けることを決断する。
国王の言葉はハッタリではなく、異例のVIP待遇が彼を待っていた。

まず軍隊が迎えに来て、膨大な量の仏典を運んでくれた。
長安では国王自らのお出迎え、住居兼作業所として離宮をたまわる。
さらにそこが手狭になると六千人収容可能な別の建物を建ててくれた。

なぜそんな広い場所がいるかというと、
鳩摩羅什を目当てに国中の僧侶が集まったからだ。
何千人もで吟味しながら、仏典を一行ずつ詠み、
仏の教えにぴったり合う漢字を一文字一文字当てていったのだ。

鳩摩羅什の頭脳、抑留時代に磨かれた仏典への理解と漢語のスキル。さらに【中国】の頭脳集団。

まさに奇跡のコラボ、そんじょそこらの翻訳じゃなかったのだ。

南無妙法蓮華経、ありがたやありがたや。
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