妖・花食い姥 (講談社文芸文庫)妖・花食い姥 (講談社文芸文庫)
(1997/01/10)
円地 文子

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に欲情する人妻を描いた小説があるらしい

そんな情報を友人からもらったので読んでみた。

主人公は人妻というより初老の女性。
終戦後まもない頃、二人の娘を嫁に出したばかりというから五十前後の熟女だろうか。

この女性、確かに欲情してる。
でも相手は坂じゃなくて、れっきとした男性だった。

主人公の千賀子は、自分を使い古した道具のように扱う夫に軽く絶望していた。

あるとき春本(エロ小説)の英訳に携わったことをきっかけに、
老いた自分に性衝動のようなものが残っていることに気づいた。

千賀子は仕事場と称して中二階に自分の部屋を確保した。
家は坂の途中に建っているので、その中二階のソファーで横になると、
坂の斜面の真横に寝そべる形になった。

坂を行き交う人々の息づかい、流れる水の音、葬列の喧騒、
それらのひとつひとつが、そばで密かに横たわる千賀子を高ぶらせた。

坂上から降りてくる男子学生の力強いテノールの声を聞いたとき、
千賀子の劣情はピークに達するのだった…


に興味のない人にはなんのこっちゃという感じかもしれないが、
坂が持っている躍動的なイメージと、千賀子が恐れる老いのイメージ、
そのコントラストが妖しいエロスをかもしだしている。

数々の病に見舞われながら、坂を上るように粘り強く【女性】の業を
描き続けた著者ならではの力作。
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新版 霊柩車の誕生

新版 霊柩車の誕生 (朝日選書)新版 霊柩車の誕生 (朝日選書)
(1990/05)
井上 章一

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霊柩車を見たら親指を隠せ!

子どもの頃あの車に出くわすと本気で親指を握り締めたものだ。

お神輿にタイヤを付けて走らせたようなあの車、
業界では「宮型霊柩車」と呼ばれている。もちろん、日本にしかない。

あの珍獣のようなデザインの車は日本でどのように生まれ、【進化】してきたのだろうか。

江戸時代、死者との別れの儀式は葬列として行われていた。
現在も一部の地方で「野辺おくり」としてまだ残っているもので、
装飾もなく地味に行われていたようだ。

その葬列が、明治になるとド派手に生まれ変わる。
を飾り、菓子折を配り、を放つ。
奴と呼ばれる芸人が列をなして大道芸をする。
本書によると、江戸時代の大名行列を請け負っていた業者が、
【ビジネス】として葬列を扱い始めたのがこのパレード化の一因らしい。

ところが、明治後期になると道路事情がパレードを許さなくなる。
車や路面電車が普及したことで、道路をゾロゾロ歩くことができなくなったのだ。

そこで葬式業界にコペルニクス的転換が起こる。

それまで御輿のようなものに載せて徒歩で運んでいだご遺体を、
に載せてしまおうというのだ。

ご遺体を載せる以上、車は特別な車でなければならない。
貧しくても人生の最後くらいは派手に送ってやりたいというのが庶民の人情だ。
ならば思い切って、お神輿のデザインも車に載っけてしまおう。

こうして誕生した「宮型霊柩車」
死者との別れを車でチャチャっと済ますことに抵抗はあったものの、
時代のニーズにマッチした葬式スタイルは日本中に普及した。

そういえば最近、あのキッチュな車を見ることが少なくなった。
親の健康を気づかういい機会だったのだが。

月のきほん

月のきほん月のきほん
(2006/07/25)
白尾 元理

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浅田真央ちゃんがモロゾフコーチの周りを大きく周回しながら
斜めにジャンプしてトリプルアクセルを決めた。
それを見守りながら、高橋大輔くんが真央ちゃんの周りを
小さく周回している。

このとき、真央ちゃんの目には高橋くんがどう映ったか。

これがイメージできる人は、月の満ち欠けと動きが理解できるのだろうか。

上弦の月と下弦の月の違いを何気なく調べ始めたら、
来る日も来る日も月のことばかり考えるようになってしまい、
気がつくと本書を手にしていた。

しかし、読んだ後も月の複雑さは増すばかり。

上の例でいくと、高橋くんは真央ちゃんがどの位置にいても常に
真央ちゃんの方を向いている。

しかも、高橋くんは真央ちゃんと同じ氷の面を滑ってるのではなくて、
微妙に傾いた面を滑っているらしい。
(でないと満月のたびに月食が起こる)

これ以上深入りするとやばいことになりそうなので、
月は夜空を眺めて楽しむだけにしようと思う。
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Author:shokomotsu
無意味つづり>書庫モツ連鎖

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