マイケル・ファラデー 科学をすべての人に

マイケル・ファラデー

科学者の中で伝記が一番多く書かれている人物はファラデーなのだそうだ。

そういえばこないだ行った科学博物館でもファラデー推しだったっけ。

いまいちピンとこないのでガリレオでもお世話になったこの伝記シリーズを読んでみた結果・・・

ファラデーすごすぎ!

伝記でおなじみのエジソンがかすんで見えます。
蓄音機やら電球やらチマチマ発明してるレベルじゃないですわ。

そのわずか半世紀前に電気そのものを道具として使えるようにした男です。
ほかにも電気分解の法則、ベンゼンの発見、ノーベル賞があった時代なら
3つ4つとってたと言われてます。
しかも物理学賞化学賞のダブルで。

イギリスの首相にそれらの発見が何の役に立つのかと聞かれて彼は答えています。
「私にはわかりませんが、いつか政府がそれで税収を稼げることは請けあいます」
国家レベルの発見です。

さらにドラマチックなことに、彼は製本屋の丁稚奉公という低い身分の出なんです。

製本屋で働く彼がひょんなことから科学講演会のチケットを手に入れる
→講演をメモしたノートを科学界の重鎮に送り、気に入られる
→たまたま空いた実験助手のポストに雇われる
→類い希なる実験センスで次々に業績をあげる
→実験室を任されて時代を変える発見を連発
イギリス王立協会の会長候補までのし上がる

とんでもないサクセスストーリーです。
しかも、名誉を嫌って爵位ウェスト・ミンスター寺院への埋葬も断っています。

いかにも日本人が好きそうなストーリーなのに日本で伝記が少ないのは意外。
と思ったらノーベル賞受賞者の大隅さんが紹介してました。
でも大隅さん、「『役に立つ』という言葉が社会をダメにしている」
というのはファラデーと真逆のようですよ。

本書によると、ファラデーは
人の役に立つ仕事=神からの授かり物
だと考えていたそうです。 

自然=神の摂理を明らかにすることで、人々を幸せにできる
そのピュアな気持ちがファラデーの原動力。

ニュートンしかり、フランクリンしかり(彼も印刷屋見習い)、
偉業の陰には往々にして宗教的動機があります。

科学者の精神性まで味わえるこの伝記シリーズ、鉄板です。


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ケプラー疑惑―ティコ・ブラーエの死の謎と盗まれた観測記録

ケプラー疑惑―ティコ・ブラーエの死の謎と盗まれた観測記録

ケプラーと言えば、望遠鏡のない時代に肉眼観測だけで、
惑星が太陽の周りを回る法則を「発見」した偉人である。

この法則は、【ニュートン】の万有引力の法則によって正しいことが証明された。

科学史における文句なしのスーパースターである。

そんなケプラーの偉業が、盗作によって成し遂げられたのではないか、というショッキングな内容。

しかも、師匠を殺して観察記録を盗んだというから穏やかじゃない。

ケプラーはそのイメージとは裏腹に、思い込みが強く執念深い男だったらしい。

彼が記した『宇宙の神秘』では、6つの惑星(当時は土星までしか発見されていなかった)が
正立体
(正四面体~正二十面体の5つ)の関係で配置されていると主張した。

この説は当時の天文学の巨匠、ティコ・ブラーエ様
笑い飛ばされてしまった。
ティコ・ブラーエ様はデータ至上主義だったのだ。

ケプラーは自らの正しさを証明するためにこの巨匠から
観察記録を奪わなければならないと決意した。
それを実行に移したとき、皮肉にも自説と全く異なる法則発見をしてしまうのである。

思い込みと言えば、遺伝の法則を発見したメンデルの観察記録が
恣意的に選ばれたものであることを、統計学の巨匠フィッシャー様
指摘している。

フィッシャー様もまたデータ至上主義の人である。

ケプラーの希有なところは、観察記録(しかも他人の)とにらめっこをして、最終的には宇宙の真理にたどりついたところだ。

メンデルもまた、観察記録(彼の場合自分の)から生命の真理にたどりついた。

思い込み
と、冷静な分析力と、そして執念
これが【人類史】を変える3条件。

巨匠なんぞしょせん引き立て役なのだ。

フラットランド 二次元の世界

フラットランド 二次元の世界

フラットランド、それは高さのない世界。

タテとヨコはあるけど高さがない。つまり2次元の世界(時間は流れている)。

高さがないのに、住人(というか物?)が普通に生活している。
生活しているどころか身分制度まである。

一番偉い聖職者は、専門職は正方形、中産階級は正三角形
残念ながら【女性】はすべて身分が低い直線である。

高さがない=上から見ることができないのになぜがわかるか
というと、奥行がどれくらいあるかで微妙に線の見え方(光り方)が違うのを
手がかりに区別するらしい。

そんな2次元世界で生きる正方形の男が主人公。
ある日、男の前に3次元世界から訪問者が現れる。

訪問者は「球」

現れるといっても「通過」するだけである。
2次元世界の男にとって「球」
が大きさを変えているようにしか見えない。

ところが男は、何度も通過を見せられてるうちに、
「高さ」の概念を理解するようになった。

2次元世界を俯瞰する鳥の眼を持ってしまった男、
その運命やいかに?

こうしてあらすじを書いてるだけでスリリングではないか。
近所のビブリオバトルでチャンピオンが紹介してただけのことはある。

この本が1884年に書かれたというからまたスゴい。
女性描写が差別的なのも当時の社会背景を表している。

最近の物理本によると宇宙は10次元ということでさらにブッ飛んでるのだが、
少なくとも3次元世界に生きるわれわれが、より高い次元から
のぞかれている可能性があるということだ。

大きさや形がなめらかに変わっていくヤツがいたら要注意。
そいつは高次元からの刺客かもしれん。

ガリレオ・ガリレイ―宗教と科学のはざまで

ガリレオ・ガリレイ―宗教と科学のはざまで (オックスフォード科学の肖像)ガリレオ・ガリレイ―宗教と科学のはざまで (オックスフォード科学の肖像)
(2007/05)
ジェームズ マクラクラン

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科学史における不世出のスーパースターはニュートンだが、
少し先輩にもう一人すごいヤツがいたことを忘れてはならない。

ガリレオ・ガリレイ

イタリアがまだイケてた時代に科学革命の先陣をきった男。
「それでも地球は動いている」
宗教裁判にかけられても地動説を譲らなかったという、あの男だ。

このエピソードは後世にかなり脚色されたものらしいが、
ガリレオの武闘派ぶりはガチだ。

地動説を認めようとしない数学者相手に
宇宙っちゅうもんは数学で書かれとんじゃ。数学わからんヤツに宇宙がわかるか、ボケ」
とブチかましている。

同じころ、ドイツにはもう一人のカブキ者、ケプラーがいた(当時は神聖ローマ帝国)。
肉眼の観測データだけから太陽系全体を俯瞰する法則を発見したリアル超人。師匠の殺人+データ強奪疑惑まであるからすごい。

ガリレオも負けじと太陽の黒点や木星の衛星を驚異的なの正確さで観測したが、
天体より身近な物体の運動ほうが好きだったようだ。
ピサの斜塔からの球を落としたとか落とさなかったとか。

真空中では、毛糸と鉛の塊は同時に落ちる

ガリレオのこの予言が正しいことは、300年後アポロ宇宙飛行士が
月面で行った実験により全世界に示された。

天体のケプラー、身近な物体のガリレオ
2人の超人が同時に生きていたのはすばらしい偶然だった。

この2人からスルーパスを受けて、2つまとめてスーパーゴール
決めてしまったのが【ニュートン】なのだ。

ニュートンが生まれた年は、ガリレオが死んだ翌年である。

ガリレオが天動説を批判して書いた著者のタイトルは「偽金鑑識官」
ニュートンの晩年の職業がまさにそれである。

これを奇跡と呼ばずしてなんと呼ぼう。

ブラックホール戦争 スティーヴン・ホーキングとの20年越しの闘い

ブラックホール戦争 スティーヴン・ホーキングとの20年越しの闘いブラックホール戦争 スティーヴン・ホーキングとの20年越しの闘い
(2009/10/08)
レオナルド・サスキンド

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地球をサクランボくらいの大きさまでギューと縮めたら
ブラックホールになるんだって。

めちゃめちゃ重くて小さい粒みたいな感じ?
ブラックホールって言うけどじゃないよね。

そこに吸い込まれる(吸い付かれる?)と二度と出れなくなるから気をつけて。
光のスピードでも脱出不可能なんだ。

でもある科学者がトンデモな仮説を出したんだって。

ブラックホールはだんだん縮んでいって最後には蒸発するっていうんだ。
中のものは?バラバラに飛び散りそうだね。

この科学者、あの車椅子の天才、スティーブン・ホーキング

重力でガッチガチのブラックホールが蒸発してバラバラになる?
そんなのにわかには信じられないよね。

もっとトンデモだったのは、ブラックホールで「情報」までなくなってしまうと言い出したことなんだ。
「情報」っていうのはエントロピー、物がとりうる状態のバリエーションのこと。

これに待ったをかけたのがサスキンドたち。
「情報」がなくなっちゃうっていうのは、物理の法則を根底からひっくり返す
言語同断な話だったんだって。

バトルは何年も続いて最後にはついにホーキングが降参
ホーキングに白旗をあげさせたサスキンドたちの説は、

「情報」はブラックホールでなくなるし、なくならない。

っていうこれまたトンデモな理論だったんだ。
量子論ってやっぱり難しいね。



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Author:shokomotsu
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